おはようございます、祐川です。
今でこそ、僕はバスケットボールスクールとU15クラブを運営しています。
36歳で会社員を辞め、スポーツの仕事で生きていく道を選びました。
ただ、昔から起業したかったわけではありません。
むしろ長い間、会社を辞めるという選択肢は僕の中にありませんでした。
家族がいる。
毎月の生活がある。
周りにも、自分で事業をしている人はほとんどいない。
会社に勤めて働く。それが普通で、そのまま人生が続いていくのだと思っていました。
卒業文集には、別のことを書いていた
小学校の卒業文集だったと思います。
将来の夢を書く欄に、教師になりたい、バスケットボールを教えたいと書いていました。
その後、大学で体育の教員免許を取り、教育実習にも行きました。
高校生へ教える時間は面白かった。
自分が伝えたことを相手が理解し、できるようになる。その反応が返ってくることに、やりがいを感じていました。
それでも教師にはなりませんでした。
大学を卒業する頃の僕は、もっと選手としてバスケットを続けたかったからです。
実業団へ入り、仕事をしながらプレーする道を選びました。
教員免許は持っている。でも教師にはならない。
子どもの頃に書いた夢は、そこで一度、引き出しの奥へ入りました。
バスケができていたから、不満はなかった
会社員生活が嫌だったわけではありません。
物流会社、医療機器メーカー、食品メーカー、商社。
いろいろな仕事を経験しました。
仕事をしながら実業団でプレーし、SOMECITYや3x3にも挑戦しました。
全国大会や大きな舞台も経験できました。
北海道で3x3チームを立ち上げたこともあります。
会社へ行き、仕事が終わればバスケットをする。
自分の好きなことを続けられていたので、その生活に強い不満はありませんでした。
起業している人を見れば、少し憧れはありました。
時間を自分で決められそうだ。
頑張った分だけ結果が返ってきそうだ。
格好いいなとも思いました。
でも、それは別の世界の話でした。
自分が会社を辞める姿は想像できなかったんです。
選択肢は、知っている範囲にしか現れない
当時の僕の周りには、会社員として働く人が多くいました。
それが悪いわけではありません。
ただ、人は見たことのない生き方を、自分の選択肢として考えにくいのだと思います。
スポーツを仕事にする。
自分でスクールを作る。
参加費を決める。
体育館を借りる。
集客する。
指導だけでなく、経理も広報も問い合わせ対応も自分でやる。
そういう仕事の形を、僕は具体的に知りませんでした。
だから「勇気がなくて選ばなかった」というより、そもそも選択肢として見えていなかった。
選べる未来を増やすには、気合いより先に、別の働き方を知る必要があります。
単発のクリニックで返ってきたもの
会社員をしながら、時々、子どもたちへバスケットを教える機会がありました。
単発のクリニックです。
そこで教えた動きを、子どもがすぐ試す。
できなかったことが少しできる。
「ありがとうございます」と言ってもらえる。
その反応が、思っていた以上に自分の中へ残りました。
会社の仕事では得られなかったという話ではありません。
ただ、自分の経験が目の前の誰かへ直接届き、その場で変化が返ってくる感覚は特別でした。
小学校の卒業文集に書いた「バスケットを教えたい」という言葉は、消えていなかったんだと思います。
夢は一直線にかなうものだけではありません。
一度離れ、別の仕事や経験を通り、形を変えて戻ってくることがあります。
いきなり辞表を出したわけではない
会社員からスポーツ起業へ進んだ話は、結果だけを見ると大きな決断に見えます。
でも、ある朝突然、すべてを捨てて始めたわけではありません。
仕事をしながら選手活動を続けました。
クリニックを開きました。
チームを立ち上げました。
失敗もしました。
コロナ禍では、北海道で作った3x3チームを解散せざるを得ませんでした。
一度作ったものがなくなる経験をしています。
それでも、子どもへ教える機会、イベントを作る機会、誰かと一緒に企画する機会を少しずつ重ねました。
会社を辞める前に、別の道の輪郭を作っていたんです。
大きな決断の前には、小さな実験があります。
一回教えてみる。
一つ企画してみる。
参加者の反応を見る。
自分が続けたいか確かめる。
うまくいかなければ、直す。
この繰り返しがなければ、36歳での決断はできなかったと思います。
もちろん、決断の時に不安が消えていたわけではありません。
家族の生活を守れるか。
毎月の収入はどうなるか。
参加者が集まらなかったらどうするか。
自分が体調を崩した時、事業は止まらないか。
好きなバスケットを仕事にして、嫌いにならないか。
考え始めれば、不安は増えます。
だから僕は、不安がなくなるのを待って辞めたわけではありません。
何が不安なのかを分け、準備できるものから準備しました。
必要な生活費を考える。
スクールの人数や継続率を見る。
体育館の確保を確認する。
家族とも話す。
それでも分からない部分は残ります。
挑戦は、危険を見ないことではありません。
見える危険を具体化し、背負える範囲を考えた上で進むことです。
好きなことを仕事にする難しさ
バスケットを仕事にできたら、毎日楽しい。
会社員時代には、そんな想像もありました。
実際には、コートに立っている時間以外の方が長い日もあります。
問い合わせへ返信する。
会場を探す。
参加費や支払いを管理する。
SNSを更新する。
保護者と話す。
スタッフと方向を合わせる。
うまくいかなかった企画を見直す。
好きなことを仕事にするとは、好きな部分だけをすることではありません。
好きなものを続けるために、苦手な仕事も引き受けることです。
だから、週末の小さな実験には、自分が指導を好きかだけでなく、運営の現実も知る意味がありました。
憧れと現実の両方を見た上で、それでも続けたいかを確かめる。
辞める前に、夢を数字へ置き換えた
「好きだから挑戦する」という言葉だけでは、家族の生活を守れません。
僕が考えなければならなかったのは、毎月どれだけ必要なのか、スクールに何人通ってもらえれば続くのか、体育館が取れない月をどうするのか、自分が体調を崩した時に何が止まるのかという現実でした。
数字を出すと、夢が小さくなるように感じることがあります。
でも僕にとって数字は、夢を諦めるためではなく、無謀な賭けにしないための材料でした。
家族へも、「やりたいから分かってほしい」だけでは伝えられません。
どこまで準備できているのか。何がまだ分からないのか。うまくいかなかった場合、どの時点で見直すのか。
不安をなくす約束はできません。
だからこそ、不安を一緒に見られる状態にする必要がありました。
起業することが挑戦で、会社へ残ることが逃げだとは思いません。
辞める理由が、目の前の嫌なことから離れたいだけなら、別の場所でも同じ問題にぶつかるかもしれない。
僕の場合は、小さなクリニックやイベントを重ねる中で、教える仕事をもっと作りたいという気持ちと、現実に続けられる可能性の両方が少しずつ見えてきました。
選択肢を作るとは、勢いで扉を開けることではありません。
扉の向こうを何度も見に行き、自分と家族が背負うものを確かめることでもありました。
安定を否定したいわけではない
起業したから自由、会社員だから不自由、という単純な話ではありません。
会社員には会社員の安定と学びがあります。
僕は14年間で、人との働き方、約束を守ること、商品や物を動かすこと、取引先と調整することを学びました。
今の事業は、その経験なしでは続けられません。
一方で、起業すれば時間も収入も自動的に自由になるわけではない。
判断も責任も自分に返ってきます。
体育館が取れない。
参加者が集まらない。
費用は先に出ていく。
家族との時間も考える。
会社を辞めたことを美談にしすぎると、現実を見失います。
僕が伝えたいのは、全員が起業するべきということではありません。
今見えている道だけが、唯一の道とは限らないということです。
子どもにも、大人にも選択肢を渡したい
育成年代の子どもたちにも、「強豪校へ行く」「プロになる」以外に、バスケットとの関わり方はたくさんあります。
選手を続ける。
コーチになる。
審判になる。
トレーナーになる。
映像やデータを扱う。
イベントを作る。
地域クラブを支える。
別の仕事をしながら、生涯スポーツとして続ける。
一つの結果だけで、バスケットとの関係を終わらせなくていい。
僕自身、選手、会社員、チーム運営、スクール、U15クラブと、関わり方が何度も変わりました。
だから子どもたちには、今すぐ将来を一つに決めるより、自分が知らない役割へ触れてほしいと思っています。
大人も同じです。
転職や起業を急ぐ必要はありません。
ただ、興味のある場所を見に行く。
小さく手伝う。
週末だけ試す。
話を聞く。
今の生活を守りながら、別の選択肢を少しずつ作ることはできます。
会社を辞めるという選択肢がなかった僕も、最初は一回のクリニックからでした。
人生を変える決断は、その日に突然生まれるのではなく、それ以前の小さな行動に支えられています。
One Step Resilience #014
選択肢は、見つける前に小さく作り始める。
最後まで聴いていただき、ありがとうございました。
このポッドキャストでは、
・バスケットボール
・育成
・メンタル
・挑戦
・スポーツ起業
について、成功だけでなく失敗や試行錯誤も含めて、できるだけリアルにお話ししていきます。
病気や怪我で苦しかった時期。
チーム解散を経験したこと。
14年間の会社員生活。
そして36歳からのスポーツ起業。
遠回りしてきたからこそ伝えられることがあると思っています。
もし今、何かに挑戦していたり、
壁にぶつかっていたり、
次の一歩を踏み出したいと思っているなら、
これからも一緒に歩んでいけたら嬉しいです。
ぜひ購読して、
次回の配信も楽しみにしていてください。
ONE STEP FORWARD
今日も一歩ずつ前へ。
【公式LINEのご案内】
「頑張っているのに結果が出ない」
「自信を失いかけている」
「次の一歩を踏み出したい」
そんな方に向けて、公式LINEではメルマガやSNSでは発信していない内容もお届けしています。
・挑戦を続けるための考え方
・壁を乗り越えるヒント
・育成やメンタルに関する学び
・イベントや講座の先行案内
一人で抱え込まず、一緒に前に進んでいきましょう。












