スケガワ|挑戦と育成の裏側
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「もっと走れ」と言った方がいいですか、と聞かれた。
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「もっと走れ」と言った方がいいですか、と聞かれた。

おはようございます、祐川です。

個別指導が終わって、保護者の方と少し話していた時のことです。

子どもがゲームの中でなかなか動けない。周りより反応が遅く見える。

「もっと走れって、言った方がいいんでしょうか」

正直、一瞬迷いました。

その場で「走らせてください」と言うこともできた。でも、その言葉が頭の中に引っかかったまま出てこなかった。

外から見ると動いていないように見える。でも今日の練習で、その子の目が何度か止まった瞬間を見ていました。ボールの動きを目で追いながら、何かを決めようとしているような間があった。

もしかしたら足ではなく、頭が止まっているのかもしれない。

その日は「すぐに走れとは言わなくていいと思います」と答えました。

バスケットボールで動けない理由は、体力だけではないからです。

足が止まる前に、頭が止まっている

バスケットボールは、かなり複雑な競技です。

ボールを見る。リングを見る。味方の位置を見る。ディフェンスを見る。次に空く場所を考える。自分が行くべきか、誰かのために場所を空けるべきかを選ぶ。

子どもは、その全部を同時には処理できません。

周りからは立っているように見えても、本人の頭の中では、

「どこへ行けばいいんだろう」

「ボールをもらっていいのかな」

「この人を守るんだっけ」

「今動いたら邪魔になるかな」

という迷いが起きていることがあります。

そこで「走れ」とだけ言われると、子どもは速く動こうとします。

でも行き先は分からないままです。

結果として、ボールへ近づきすぎる。味方と同じ場所へ行く。守る相手を外す。失敗して、さらに動くのが怖くなる。

動けない子に必要なのは、いつも「もっと頑張れ」とは限りません。

見る対象を一つに絞ると、足が動き始めることがあります。

「走る」を細かく分ける

大人が使う「もっと走って」という言葉には、いくつもの意味が混ざっています。

攻守が変わった瞬間に戻ってほしい。

ボールを持っていない時に止まらないでほしい。

リバウンドへ参加してほしい。

パスを出したあとに動いてほしい。

相手より先にスペースへ入ってほしい。

全部、走るという言葉で表せます。

しかし、子どもからすると、何を直せばいいかが分かりません。

僕なら、場面を一つへ絞ります。

例えば、「相手にボールを取られた瞬間だけ、リングへ向かって三歩走る」。

あるいは、「パスを出したら、その場から一度離れる」。

「シュートが上がったら、ゴールの近くへ一歩入る」。

これなら、いつ、どこへ、何のために動くのかが見えます。

できたかどうかも、本人と一緒に確認できます。

走る量を増やす前に、動き始める合図を一つ持たせる。合図が分かれば、足は少しずつ出るようになります。

体力の問題も、もちろんある

すべてを考えすぎのせいにするのも違います。

単純に運動経験が少なく、身体が思うように動かない場合もあります。走る姿勢や止まり方が安定していない。疲れると目線が落ちる。何度も切り返す力がまだない。

ミニバスの年代では、身体能力の差が大きく見えやすいものです。

早く成長した子、さまざまな運動を経験してきた子は、ゲームの中でも目立ちます。

だからといって、今動けない子の可能性が低いとは限りません。

身体を扱う力は、経験とともに伸びます。

走る、止まる、方向を変える、ぶつかって姿勢を保つ。こうした土台は、ボールを持たない遊びや簡単な競争の中でも育てられます。

「やる気がない」という一言で終わらせると、見えていたものが見えなくなります。

体力なのか、身体操作なのか、判断の迷いなのか、怖さなのか。原因が違えば、必要な助けも変わります。

僕自身、すぐに言葉が出るタイプではなかった

僕は、何でもその場ですぐ話す子どもではありませんでした。

試合の帰り道でも、自分からたくさん話すタイプではなかった。頭の中で考えていても、それを言葉にするまで時間がかかることがありました。

親は、そこで無理に答えを求めませんでした。

技術的に「あそこがダメだった」と責められた記憶もほとんどありません。

「よく走っていたね」

「あれはすごかったね」

そんな言葉の方が残っています。

すぐに評価や指示を重ねられなかったから、自分の中で試合を振り返る時間がありました。

あの時、急かされていたらどうだっただろうと思います。

話さないことも、動けないことも、外から見ればやる気がないように見えます。

でも、本人の中では処理が続いているかもしれない。

大人が少し待つことで、その子自身の言葉や動きが出てくることがあります。

声をかけるなら、評価より観察から

「もっと走って」と言いたくなった時、少しだけ言葉を変える方法があります。

「どこへ行けばいいか、迷った?」

「攻守が変わった時、最初に何を見ていた?」

「一番動きやすかった場面はどこだった?」

これは正解を答えさせる質問ではありません。

本人が何に困っていたかを知るための会話です。

「分からない」と返ってくることもあります。

その時は、一つだけ選択肢を渡す。

「じゃあ次は、相手に取られた瞬間の三歩だけ一緒に見よう」

全部を直さない。できなかった場面を並べない。

一つの合図を共有し、その場面が出た時に「あの三歩、出たね」と返す。

本人が自分の変化に気づけば、走ることは叱られてやる仕事ではなくなります。

親の焦りも、悪者にしない

子どもの動きが遅く見えると、親は不安になります。

このまま試合に出られないのではないか。

周りについていけなくなるのではないか。

もっと厳しく言わなければ、本人のためにならないのではないか。

その焦りは、子どもを大切に思っているから生まれます。

だから「口を出さないでください」と切り捨てるのではなく、何が見えているのかを一緒に整理したいと思っています。

外から見える遅さと、本人の中で起きている迷いは同じではありません。

今日止まって見えていた子が、一週間後に別人のように動き出すことがあります。準備が整った瞬間に、一歩が出ます。

逆に、気持ちだけで走らせれば、その場は動いて見えても、自分で選べるようにはならないことがあります。

待つことは放置ではありません。

一つの合図を渡し、その子が自分で使うまで見守ることです。

「もっと走れ」と言う前に、何が足を止めているのかを考える。

そこから始める方が、遠回りに見えても長く残る力になると思っています。

動画を見る時も、「動いていない」で止めない

試合映像があると、本人と大人の見え方を合わせやすくなります。

ただし、止まっている場面を並べて見せると、本人にとっては責められる時間になります。

僕なら一つの場面だけを選びます。

ボールを失った瞬間に映像を止めて、

「この時、何が見えていた?」

と聞く。

本人が「ボールしか見ていなかった」と言えば、次に見る対象が見えます。「誰を守るか分からなかった」と言えば、マークの確認方法を練習できます。

そのあと、少しでも早く動けた別の場面も一緒に見ます。

できなかった映像だけでは、子どもは自分を「動けない選手」だと理解します。

できた場面と並べると、どんな条件なら動けるのかを探せます。

映像は判定の証拠ではなく、本人の視界を知るための材料です。

声をかけない方がいい日もある

親が毎回分析役になる必要もありません。

子どもが疲れている。悔しさが強い。まだ言葉にしたくない。

そういう時は、技術の話をしない方が良いことがあります。

僕の親がそうしてくれたように、「お疲れさま」「よく走っていたね」で終わる日があっていい。

本人が話し始めたら聞く。質問されたら一緒に考える。

大人が何も言わない時間は、関心がない時間ではありません。

子どもが自分の感情を整理し、自分から次を考えるための場所になります。

レジリエンスカウンセラーとして学んできた中でも、感情が大きく動いている時に、すぐ正解や助言を重ねないことの大切さを感じます。

安心できる関係が先にあり、そのあとで振り返りが始まる。

「もっと走れ」という言葉をやめることが目的ではありません。

その言葉を使う前に、今この子に必要なのは技術の整理なのか、身体の経験なのか、それとも安心して黙っていられる時間なのかを見分けることです。

One Step Resilience #016

動けないように見える時間にも、その子の中では判断が育っている。

最後まで聴いていただき、ありがとうございました。

このポッドキャストでは、

・バスケットボール

・育成

・メンタル

・挑戦

・スポーツ起業

について、成功だけでなく失敗や試行錯誤も含めて、できるだけリアルにお話ししていきます。

病気や怪我で苦しかった時期。

チーム解散を経験したこと。

14年間の会社員生活。

そして36歳からのスポーツ起業。

遠回りしてきたからこそ伝えられることがあると思っています。

もし今、何かに挑戦していたり、

壁にぶつかっていたり、

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これからも一緒に歩んでいけたら嬉しいです。

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次回の配信も楽しみにしていてください。

ONE STEP FORWARD

今日も一歩ずつ前へ。

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