スケガワ|挑戦と育成の裏側
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世界のコーチは、最初のひと言で空気を変えた。
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世界のコーチは、最初のひと言で空気を変えた。

おはようございます、祐川です。

今日は、ある現場で見た光景の話をします。

少し前に、、海外のコーチを招いたバスケットボールのキャンプがありました。Bob と Nolan という、世界でやってきたコーチたちです。僕はその現場で、全体のアテンド・調整役として、ずっとそばにいました。

子どもたちが体育館に集まって、いよいよ始まる。日本だとこういう時、まず大人が盛り上げにいくことが多いですよね。「さあ、元気出していこう」「声出して」と、大人がエンジンをかける。

でも、彼らは違いました。集合して、最初のひと言で、体育館の空気が変わったんです。

「モチベーションは、自分で保て」

彼らはこう言いました。「今日は、プロと同じくらいの強度でやる」。そして、「モチベーションは、我々が上げるんじゃない。自分たちで保つように」と続けた。

これは、すごいことだと思いました。

日本の感覚だと、子どものやる気は大人が引き出してあげるもの、という前提があります。盛り上げて、褒めて、テンションを上げて、乗せていく。それもひとつの愛情です。

でも彼らは、開始の数分ではっきり線を引いた。「やる気は、君たち自身のものだ」と。大人が上げてくれるのを待つんじゃない。自分で持ってきて、自分で保て。

その瞬間、子どもたちの背筋がすっと伸びたのを覚えています。指示されたからじゃない。自分が主役だと、最初に渡されたからです。

ドリルを「理解して」やる

もうひとつ印象に残ったのは、「ドリルを適当にやるな」という言葉でした。

ただ動きをなぞるのではなく、この練習が何のためにあるのかを理解してやってほしい、と。

日本だと、メニューをこなすこと自体が目的になりがちです。言われた通りに、きれいに、たくさん。それで満足してしまう。でも彼らは、量より「理解」を求めた。なぜこの動きなのか、試合のどの場面で使うのか。それが分かっている子は、同じドリルでも目の色が違いました。

そして、サポートで入っていたコーチたち——大学でバスケをやってきたような人たち——に対しても「リスペクトを持て」と。教わる相手に敬意を払うこと。それも、最初に空気として渡されていました。

空気は、技術より先にある

気づいたことがあります。彼らは、いきなり高度なスキルから入らなかった。

もちろん、スキップやフロート、プロホップ、ユーロステップのような世界基準のスキルもたくさん教えてくれました。本当に勉強になった。でも、その前に空気を作っていたんです。

やる気は自分で保て。練習は理解してやれ。相手に敬意を払え。この三つを最初の数分で渡してから、技術に入っていった。

順番が逆じゃない。技術を教えてから空気を整えるのではなく、空気を整えてから技術を乗せる。一流のコーチは、技術より先に「場」を設計している。これは僕にとって大きな発見でした。

日本の育成と、世界の差

保護者の方とよく話します。「世界で戦える選手に育てるには、どうすればいいんですか」と。

スキルの差だと思われがちです。確かに世界には驚くようなスキルがある。でも、僕がその現場で感じた一番の差は、スキルそのものより「空気の作り方」でした。

自分でやる気を保つ。練習の意味を考える。相手を尊重する。これは特別な才能じゃない。日本の子にも、絶対にできることです。

ただ、普段、大人がやる気を上げすぎている分、自分で保つ筋肉が育ちにくいのかもしれない。メニューをこなすことに慣れている分、意味を考える習慣がつきにくいのかもしれない。

世界基準は、遠い海の向こうにあるんじゃない。最初の数分の、振る舞いの差なんだ。そう思いました。

持ち帰って、現場でやってみた

僕は、これを自分のスクールやFOGに持ち帰りました。

いきなり全部は無理です。でも少しずつ。練習の前に「今日、何のためにこれをやるか分かる人?」と聞くようになった。盛り上げすぎず、子どもが自分でスイッチを入れる時間を、あえて待つようにもなりました。

僕自身、3x3という競技で世界に近い強度を肌で知っています。あの場では、誰も盛り上げてくれない。自分で持っていくしかない。その経験があるから、彼らの言葉がすっと腑に落ちたんだと思います。

挑戦って、結局そういうことなのかもしれません。誰かが上げてくれるのを待つんじゃなくて、自分でやる気を持ってくる。意味を考えて、敬意を持って、その場に立つ。それができる子は、コーチがいない場面でも崩れない。

最初のひと言を、大人が持つ

世界のコーチが、最初のひと言で空気を変えた。それは特別な魔法じゃありませんでした。「やる気は自分のものだ」と、子どもを信じて、最初に渡しただけです。

僕たち大人は、つい、やる気を上げてあげようとします。それも愛情です。でも、上げ続けてあげることが、いつのまにか自分で保つ力を奪っていることもある。

最初のひと言を、何にするか。子どもを盛り上げる言葉にするのか、子どもを信じて渡す言葉にするのか。そこに、育成の差が出るのかもしれません。

よかったらコメントや返信で、あなたの現場の「最初のひと言」を聞かせてください。

挑戦する子は、環境で決まる。その環境の空気は、最初のひと言から始まっています。

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子どものやる気を「上げてあげる」のではなく、「自分で保てる」ように。

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