おはようございます、祐川です。
僕がバスケットボールスクールを始めたのは、2025年の5月。会社員をやりながら、副業としてのスタートでした。
最初の体験会は、SNSで告知しました。誰も来なかったらどうしよう——そんな不安を抱えたまま、当日の朝、一人で体育館の鍵を開け、電気をつけ、ボールを並べました。
ありがたいことに、初回の体験会には、SNSを見た親子が来てくれました。体育館に子どもの声が響いて、シュートが入って、笑う。その顔を見たときは、素直にうれしかった。
でも、すぐに分かりました。体験会に人が集まることと、スクールが続いていくことは、まったく別の話だったんです。
にぎわった初日は、日常じゃない
体験会が終われば、翌週からは通常のクラスが始まります。
当時は月謝制ではなく、参加するたびに払う「都度払い」でした。だから、毎回同じ人数が来るわけじゃない。多い日もあれば、少ない日もある。そして——生徒が一人だけ、という日もありました。
広い体育館に、僕と、子どもが一人。
事業として見れば、不安になります。体育館を借りて、準備をして、移動して、この人数で続けられるのか。当時はまだ会社員で、これは副業として始めたスクールでした。13年勤めてきた会社の仕事は、行けば決まった役割がある。でも、自分で始めたスクールには、約束された参加者なんて、最初からいない。それは、会社の安心とはまったく別の種類の不安でした。
初回ににぎわったからといって、その先が保証されるわけじゃない。むしろ、本当の始まりは、体験会のにぎわいが消えたあとにありました。
一人なら、一人にしかできない時間がある
生徒が一人しかいないと、正直、指導する側は少し寂しい。「今日は人数が少ないから、軽めでいいか」と思うこともできます。
でも、その子にとっては、その一回が、大切な練習なんです。
保護者の方が時間を作って、会場まで連れてきてくれた。その子も、うまくなりたいと思って体育館に来た。参加者が一人だからといって、その価値が小さくなるわけがない。
だから僕は、一人なら、一人にしかできないことをやろうと決めました。
動きを、細かく見る。大人数だと流れてしまう小さな癖を、一緒に確認する。本人がどこを難しいと感じているのか、急がずに聞く。一対一だからこそ作れる時間を、その日の主役のために使う。
人数が少ない日を、「外れの日」にしない。それは、あの頃から、自分の中で決めていたことでした。
指導者の熱量は、人数で決まるのか
人が多い日は、自然と活気が出ます。声も返ってくるし、写真を撮っても、盛り上がって見える。
難しいのは、人が少ない日です。
誰も見ていない。派手な一枚も撮れない。事業が伸びているという手応えも薄い。そんな日に、目の前の一人へ、同じ熱量を注げるか。
僕は、そこに指導者の——いや、何かを続ける人すべての——基準が出ると思っています。
念のため言うと、これは「人数が少なくても気合いで頑張ろう」という根性論ではありません。少人数が続くなら、料金も、告知も、クラスの設計も、見直さなきゃいけない。実際に僕も、都度払いのやり方を含めて、続けやすい仕組みを少しずつ作り直してきました。
数字から目をそらさないこと。そして、いま来てくれている一人への指導を、薄くしないこと。この二つは、どちらかを選ぶものじゃない。両方とも、必要でした。
数字になる前の、静かな時間
スクールは、一度の体験会で完成したわけじゃありません。
来てくれた子と向き合って、保護者の話を聞いて、必要なところを直す。その積み重ねの中で、入会してくれる人が、少しずつ増えていきました。
いま振り返ると、生徒が一人だけだったあの時間も、決して空白ではありませんでした。
その一人にどう向き合うかを考えたことで、僕の指導は磨かれた。「人数ではなく、その子の変化を見る」という、いまの僕の原点も、あの静かな体育館で生まれたんだと思います。
挑戦には、分かりやすく人が集まる瞬間があります。でも、それだけでは続かない。拍手のない日、数字が動かない日、誰にも見られていない日に、自分が「届ける」と決めた相手へ、同じ熱量を注げるか。
僕にとってスクールの原点は、最初の体験会のにぎわいじゃありません。
広い体育館に、生徒が一人。それでも鍵を開けて、その一人に必要な時間を作ろうとした、あの静かな日々です。
人数ではなく、目の前の一人に、熱量を注ぐ。
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