スケガワ|挑戦と育成の裏側
スケガワ|挑戦と育成の裏側 Podcast
日本代表は、53人から12人になる。
0:00
-9:24

日本代表は、53人から12人になる。

おはようございます、祐川です。

少し前に、男子バスケットボール日本代表の、今年の夏の候補メンバーが発表されました。その数、五十三人。NBAでプレーする八村塁選手や、河村勇輝選手の名前も入っていました。この夏は、FIBAワールドカップのアジア予選やアジア競技大会があり、代表はこれから本格的に動き出します。

ここで、僕がいいなと思ったのは、この「数」です。五十三人が候補に選ばれ、合宿を重ねて、最終的に本番のコートに立つのは十二人。つまり、日本のトップ中のトップ五十三人が集まっても、その大半は「今回は選ばれない」側にまわる、ということです。

トップでも、大半が「選ばれない」

日本中から選び抜かれた五十三人。全員が各チームのエース級。それでも、十二人に絞られる過程で、多くが外れます。

つまり、「選ばれない」というのは、ダメな選手に起きることじゃない。トップの世界でも、当たり前に起きること。むしろ、レベルが上がるほど、「選ばれない」経験の数は増えていきます。

これを、子どもの世界に置きかえてみます。スタメンに選ばれなかった。選抜から外れた。レギュラーになれなかった。子どもがそういう経験をすると、親はつい「うちの子はダメなのかな」と落ち込む。でも、選ばれないことは、トップの選手でさえ何度も通る道です。そこで終わりじゃない。

僕も、選ばれた日と、落ちた日が、両方あった

正直に言うと、僕自身、選ばれた日と、選ばれなかった日の、両方を、いやというほど経験してきました。

小学校の頃は、はっきり言って素人同然で、選抜なんて縁もゆかりもなかった。それが、中学でがむしゃらに頑張って、一年生で札幌選抜、二年生で北海道選抜に選んでもらえました。今でいう、DC(育成センター)のような形ですね。ただ、札幌選抜に選ばれた最初は、まったく試合に出られませんでした。それでも準備を続けて、最後の決勝でようやく活躍できた。そういうスタートでした。札幌選抜では北海道で優勝し、北海道選抜では全国大会にも出させてもらいました。全国では当時の神奈川代表に負けたのですが、そのコートには、のちに東海大学でチームメイトになる選手や、神奈川の強豪の選手たちがいて、今思えば、すごい世代でした。

でも、その同じ僕が、高校では何度も「選ばれない側」にまわっています。

一年生からベンチには入れてもらえた。でも、各都道府県から数名しか選ばれない「北海道エンデバー」という、将来有望な選手の育成枠には選ばれませんでした。自分より背が高くて将来性のある選手が選ばれた時は、本当に悔しかった。国体も、ベンチには入ったけれど、正式な国体選手には選ばれず、洛南や東京代表のような強豪と戦う場所に、自分は立てなかった。3x3でも、実業団でも、同じです。選ばれて、外れて、また選ばれて。ずっとその繰り返し。そして、その中でいちばん大きく落ちたのが、大学のときでした。

大学で、一度Bチームに落とされた

一年生の時は、運よくAチームでやらせてもらいました。新人戦にも出て、決勝は最後の最後、ブザーと同時に決まったシュートで勝った。あの優勝のコートに、自分も立っていたんです。相手は、今Bリーグで活躍しているような選手が何人もいる強豪校。チームメイトにも、のちにプロになる選手がたくさんいました。一年目から、そんな景色を見せてもらった。

だから二年生になる時、「今年も優勝するぞ」と意気込んでいました。でも、現実は逆でした。思うようにプレーできず、新人戦もほとんど絡めなかった。そして、初めてBチームに落とされたんです。

当時のうちは、「一度Bチームに落ちたら、もう上がれない」と言われるくらい厳しい環境でした。実際、一年生から四年生まで見渡しても、Bから這い上がってAに戻った選手は一人もいなかった。Aチームが二十人、Bチームには三、四十人。落ちたら、その他大勢の中に埋もれていく。

ちょうど今くらいの時期、二年生の新人戦が終わったタイミングで、僕はBに落ちました。本当に、悔しかった。

でも、そこで腐らなかった。前例がなくても、一年間、Bチームでやれることをやり続けた。そうしたら、年明けの入れ替えで、なんとかAに戻ることができたんです。そこからは、引退までずっとA。

「一度落ちたら上がれない」と言われた場所から、戻れた。この一年があるから、今、選ばれなくて落ち込んでいる子に、本気で言えます。落ちても、終わりじゃない。そこからどう過ごすかで、もう一度、戻れるんだ、と。

選ばれた後も、最初は試合に出られなかった

それと、もうひとつ伝えたいことがあります。

中学でようやく札幌選抜に選ばれた。でも、選ばれたからといって、すぐ活躍できたわけじゃないんです。最初は、まったく試合に出られませんでした。

それでも、準備だけは怠らなかった。出られない時間に、自分にできることをずっとやっていた。そうしたら、最後の決勝戦で出番が回ってきて、活躍することができた。あの経験が、その後の高校での成長に、まちがいなくつながったと、今でも思っています。

つまり、「選ばれた・選ばれない」も、「出られる・出られない」も、その一点ですべてが決まるわけじゃない。大事なのは、選ばれなかった後、出られなかった時間を、どう過ごすか、です。外れてふてくされて終わるのか、悔しさを持ったまま「次のために今日何をするか」に切りかえられるか。僕の場合は、切りかえられた時だけ、次につながっていきました。

競争の先に、何を持つか

今回の代表の話で、もうひとつ心に残ったことがあります。

八村選手も河村選手も、NBAという世界の最高峰でプレーしています。それでも、日本代表への思いを強く持っている、と報じられていました。頂点まで行った選手が、それでも「日本のために」と戻ってこようとする。これは、競争の先に「誰のために、何のために」を持っている、ということだと思います。

子どもの競争も同じです。「自分が選ばれること」だけがゴールだと、選ばれなかった時に、ぜんぶ崩れる。でも、「うまくなってチームを勝たせたい」「応援してくれる人にいいプレーを見せたい」。そういう、自分の外にある目的を持っている子は、選ばれない時期も折れずに進めます。

選ばれなかった日に、僕ならかける言葉

子どもが「選ばれなかった」と落ち込んで帰ってきた日。僕だったら、「ダメだったか」でも、「気にするな」でもなく、こんなふうに声をかけると思います。

「悔しいよな。その悔しさ、本気だった証拠だよ。日本代表だって、五十三人のうち、ほとんどが一度は外れるんだ。終わりじゃない。次に向けて、何ができるか、一緒に考えよう」。

選ばれなかったことは、終わりじゃない。次に向かう、入口です。トップの世界がそうなんだから、子どもの世界も、同じでいい。

今日の話が、選ばれなくて落ち込んでいる、どこかの親子に届いたら嬉しいです。

---

「選ばれなかった日」に、悔しさを認めて前を向かせる声かけは、迷うものです。

LINE「スケガワ|バスケ成長サポート」では、僕が現場で使っている『声かけチェックリスト30』を無料でお渡ししています。

下のリンクから、ぜひ友だち登録をお願いします。

▶ 公式LINEはこちら

このエピソードについてのディスカッション

Userのアバター

もっと続けますか?