スケガワ|挑戦と育成の裏側
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バスケだけ、早く絞らせなくていい。
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バスケだけ、早く絞らせなくていい。

おはようございます、祐川です。

保護者の方から、よく聞かれることがあります。「うちの子、バスケが好きみたいなので、もう一本に絞った方がいいんでしょうか」。

水泳もやっている、サッカーもやっている。でも、そろそろバスケに専念させた方が伸びるんじゃないか。まわりにも、早くから一つに絞っている子がいる。だから、焦る。

その気持ち、すごく分かります。でも僕は、たいていの場合、すぐには「絞りましょう」とは言いません。今日は、その理由の話です。

早く絞ると、何が起きるか

早く一つに絞ると、たしかに目先の上達は速く見えます。その競技の時間が増えるんだから、当たり前です。同じ学年で比べたら、早く絞った子の方が、最初は上手いことも多い。

でも、長い目で見ると、別のことが起きやすい。

ひとつは、怪我です。同じ動きばかりを、まだ成長途中の体で毎日くり返すと、同じ場所に負担が集中しやすい。発育期の子どもについては、いろんなスポーツや運動を経験する方がいい、と専門の世界でも言われています。一つの競技に偏りすぎることのリスクは、けっこう指摘されているんです。

もうひとつは、燃え尽きです。早くから「これ一本」と背負わされると、好きだったはずのものが、いつのまにか「やらなきゃいけないもの」に変わってしまう。

いろんな動きが、土台になる

僕が指導で大事にしているのは、「いろんな動きの土台」です。

走る、跳ぶ、止まる、捻る、投げる、受ける。バスケだけじゃなく、他のスポーツや外遊びの中で身につく動きが、たくさんあります。その土台が広い子ほど、あとからバスケの技術を乗せた時に、ぐっと伸びる。逆に、土台が狭いまま技術だけ積むと、どこかで頭打ちになりやすい。

僕自身、いろんな運動を経験してきましたし、怪我もたくさんしてきました。だからこそ、体の土台がどれだけ大事か、痛いほど分かります。バスケがうまくなるためにも、バスケ以外の経験が効く。矛盾しているようで、本当のことです。

アメリカのトップは、むしろ逆をやっている

これは、僕の感覚だけの話じゃありません。アメリカのスポーツを見ると、はっきりします。

向こうは、大学くらいまで複数の競技を掛け持ちでやっている選手がすごく多い。早く一つに絞るという考え方が、むしろ少数派なんです。

たとえば、NBAのレブロン・ジェームズ。高校時代はアメフトの選手としても一流で、全米でも評価されるワイドレシーバーでした。大学からアメフトの誘いもあったと言われています。アレン・アイバーソンも、高校ではアメフトのクオーターバック。バスケとアメフト、両方で州のトップ。本人は「アメフトの方が好きだったくらいだ」と言っているほどです。

しかも、これは一部の天才だけの話じゃない。アメフトのプロ、NFLのドラフト一巡目で指名されるようなトップ選手の、調査によっては九割近くが、高校時代に複数の競技をやっていた、というデータがあります。さらに、複数競技をやってきた選手の方が、怪我が少なく、選手生命も長い傾向がある、とも。

世界のトップは、早く絞るどころか、いろんな競技で土台を広げてから上がってきている。日本は早く絞らせがちですが、世界のてっぺんにいる選手たちは、その逆をやってきたんです。

「好きで続けている」状態を守る

そして、いちばん大事なこと。子どものうちは、「好きで続けている」という状態そのものが、財産です。

早く絞って、量を増やして、一時的に上手くなっても、途中で嫌いになってやめてしまったら、元も子もない。逆に、いろいろやりながらでも「バスケ、好きだな」が続いていれば、その子は何年でも伸び続けます。

長く伸びる子の共通点は、早く絞ったことじゃありません。好きでいられる時間が、長かったことです。だから僕は、焦って一本に絞るより、「好きで続けられる形」を守る方をおすすめしています。

もちろん、絞る時も来る

誤解しないでほしいのですが、「一生、絞るな」と言っているわけじゃありません。

年齢が上がって、本人が「これで本気で勝負したい」と思った時。その時は、絞っていい。むしろ、絞るべき時もあります。

大事なのは、順番とタイミングです。土台を広げる時期に、早く絞りすぎない。そして、絞るかどうかは、まわりの焦りじゃなく、本人の「これがやりたい」を待って決める。親の役割は、早く決めさせることじゃなく、本人が決められるところまで、選択肢を狭めずに見守ることだと思っています。

今日、家でできること

もし今、「早く絞った方がいいのかな」と焦っていたら、一回、立ち止まってみてください。

その焦りは、子どもが望んでいるものですか? それとも、まわりと比べた、大人の焦りですか?

子どもがいろんなことを楽しんでいるなら、今はそれでいい。バスケが好きなら、その「好き」を、急いで重たくしないであげてほしい。

いろんな動きの土台と、好きでいられる時間。この二つを守ることが、結局、いちばん遠くまで伸びる道だと、僕は思っています。

今日の話が、「絞るべきか」と迷っている、どこかの親御さんに届いたら嬉しいです。

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