おはようございます、祐川です。
怪我をすると、時間が止まったように感じることがあります。
練習に行けない。
走れない。
シュートも打てない。
仲間が体育館で動いている時間に、自分だけがベッドの上にいる。
僕もアキレス腱を切った時、そういう時間を経験しました。
痛みもありました。不安もありました。
でも、一番きつかったのは「自分だけ止まっている」という感覚だったかもしれません。
周りは毎日練習している。
誰かがうまくなっている。
チームの中で役割が変わっていく。
自分が戻った時に、前と同じように動けるのか。
自分の居場所はあるのか。
そんなことを考える時間がありました。
今日は、怪我から復活したという美談を話したいわけではありません。
怪我で止まった時間を、どう扱うか。
その時間の中で、僕が何をしていたのか。
そして今、怪我をしている選手や、それを支える保護者の方に何を伝えたいのか。
そんな話です。
止まった時に、見えたもの
怪我をしている時、僕は自分の試合や練習を外から見る時間が増えました。
普段プレーしている時は、自分のことで精一杯です。
ボールを持った時にどうするか。
自分のマークマンをどう守るか。
自分がミスしないようにどうするか。
でも、外から見ると違うものが見えます。
仲間の動き。
スペースの空き方。
パスが出る前の準備。
ディフェンスのズレ。
シュートが外れた後に、誰が最初にリバウンドへ反応しているか。
ベンチの声。
コートの中にいる時には見えていなかったものが、少しずつ見えるようになりました。
怪我はしたくありません。
怪我をした方がいいなんて、絶対に思いません。
でも、もし怪我をしてしまったなら、その時間を「見る力」を育てる時間に変えることはできます。
ただ試合を眺めるのではなく、テーマを決めて見る。
今日はオフボールを見る。
今日はリバウンドの入り方を見る。
今日はディフェンスのローテーションを見る。
そうやって見ると、動けない時間でも、バスケットの中にいられる感覚がありました。
ベッドの上で、頭と心を動かした
アキレス腱を切った時、僕は本をかなり読みました。
最初は読みやすい自己啓発本からでした。
そこから、経営、社会人としての考え方、バスケットの本、有名人の考え方まで、いろいろ読みました。
大事だったのは、読むだけで終わらせなかったことです。
ノートに書く。
自分の言葉にする。
バスケットに置き換える。
今の自分に何が使えるかを考える。
怪我で体は止まっていました。
でも、頭と心は動かしていました。
これは、今の指導にもつながっています。
子どもたちに「ミスはデータ」と伝える時も、ただ前向きな言葉を言っているわけではありません。
しんどい経験を、どうやって次の自分の材料にするか。
それを自分自身もずっと考えてきました。
僕はレジリエンスカウンセラーとしても学んできましたが、立ち直る力は、ただの根性では作れないと思っています。
気合いで全部を乗り越える。
落ち込まないようにする。
常に前向きでいる。
それだけでは難しい時があります。
立ち直るには、設計が必要です。
朝起きたらリハビリをする。
昼に本を読む。
夜に今日の気持ちをノートに書く。
週に一回、できるようになったことを記録する。
小さな行動を決めておく。
気持ちが前向きだから行動できるのではなく、行動が少しずつ気持ちを支えてくれることがあります。
戻るためではなく、戻った後のために
リハビリでは、普段あまり見ない細かい部分にも向き合いました。
インナーの筋肉。
左右差。
逆足。
普段強く使っている側と、弱い側の違い。
僕は右足を怪我したことで、体のバランスを改めて見ることになりました。
これは地味です。
すぐに成果が出るものでもありません。
でも、復帰するためには避けて通れない時間でした。
怪我をすると、どうしても「早く戻りたい」と思います。
その気持ちは自然です。
でも、本当に大事なのは、ただ戻ることではなく、戻った時に前より自分を理解していることだと思います。
怪我から復帰しても、最初から全部が元通りになるわけではありません。
感覚がずれている。
体力が落ちている。
一歩目が怖い。
接触が怖い。
また怪我をするんじゃないかと思う。
復帰してからも、不安定な時間があります。
その時に、怪我中に何をしていたかが支えになります。
外からチームを見ていた選手は、自分の役割を考えやすい。
ノートを書いていた選手は、自分の状態を言葉にしやすい。
リハビリを記録していた選手は、焦りすぎずに段階を踏みやすい。
本を読んでいた選手は、しんどい時に自分を支える言葉を持っている。
怪我中にやることは、復帰した瞬間のためだけではありません。
復帰後に折れないための準備でもあります。
「前向きに頑張れ」だけでは届かない時がある
もし今、怪我で苦しんでいる選手がいるなら、まず伝えたいのは、ずっと前向きでいなくていいということです。
落ち込む日があっていい。
何もしない日があってもいい。
悔しくて、体育館に行きたくない日があってもいい。
焦るのも自然です。
だから大人も、怪我をした子にいきなり「前向きに頑張れ」と言いすぎなくていいと思っています。
まずは、
「悔しいよね」
「焦るよね」
「今はしんどいよね」
そこからでいい。
その上で、少し落ち着いたら、
「今だからできることを一つ探してみようか」
と声をかける。
本を読むでもいい。
試合を見るでもいい。
リハビリの記録をつけるでもいい。
食事や睡眠を整えるでもいい。
全部をポジティブにしなくてもいい。
でも、その中に一つだけ前に進む行動を作る。
その一つが、止まった時間を少しだけ動かしてくれます。
今日、持っていてほしい問い
怪我をしている選手に、三つだけ問いを渡すなら、こうです。
今できないことではなく、今ならできることは何か。
復帰した時に、前より少し良くなっていたいものは何か。
今日、一つだけ記録するとしたら何を書くか。
答えは大きくなくていいです。
本を一ページ読む。
リハビリを一つ丁寧にやる。
練習を五分だけ見て、気づいたことを書く。
それでいい。
怪我の時間は、できれば経験したくない時間です。
でも、もし止まってしまったなら、その時間に意味を作ることはできます。
意味は最初からあるわけではありません。
自分で少しずつ作っていくものです。
僕自身、アキレス腱を切った時間は、もう二度と経験したくない時間です。
でも、あの時間があったから、今怪我をした子に対して、ただ「頑張れ」ではなく、もう少し具体的に話せるようになりました。
怪我で止まった時間は、何も進んでいない時間ではありません。
次の自分を作る時間にもできます。
子どもの怪我やリハビリ中の声かけについては、公式LINE「スケガワ|バスケ成長サポート」でも届けていきます。
One Step Resilience #007
止まった時間も、次の自分を作る時間にできる。
最後まで聴いていただき、ありがとうございました。
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