スケガワ|挑戦と育成の裏側
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負けた試合のあと、ノートには三行だけ書く
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負けた試合のあと、ノートには三行だけ書く

おはようございます、祐川です。

負けた試合のあと、ノートを開いても何を書けばいいか分からない。

悔しかった。

自分が悪かった。

次はもっと頑張る。

そう書いて、ページを閉じる。

でも翌日の練習になると、何を変えればいいのかは曖昧なままです。

僕自身も、負けたあとに頭の中で同じ場面を何度も繰り返したことがあります。

大学時代も、3x3でプレーしていた時も、

「あのパスを出さなければ」

「あそこで決めていれば」

「自分のせいで負けたんじゃないか」

そんなふうに考えていました。

ただ、自分を責め続けても、プレーは変わりませんでした。

変わり始めたのは、反省の量を増やした時ではなく、振り返る対象を具体的にした時です。

まずは、悔しがっていい

負けた直後から、冷静に分析できる選手ばかりではありません。

悔しい。

腹が立つ。

誰とも話したくない。

ミスした場面を思い出したくない。

それは自然な反応です。

大事な試合であるほど、感情は簡単には切り替わりません。

だから僕は、負けた直後に無理やり前向きにならなくていいと思っています。

すぐに反省会を始めなくてもいい。

その場で答えを出さなくてもいい。

感情を無視して分析を始めると、選手は自分を守ることに意識を使います。

一方で、悔しさの中にずっと沈んでいるだけでは、次のプレーは変わりません。

少し時間を置いたら、感情と事実を分けてみる。

そこで使えるのが、三行だけの振り返りです。

長い反省文はいらない

僕が選手に提案したいのは、次の三行です。

一行目。今日、一番悔しかった場面。

二行目。その時、自分は何を見ていたか。

三行目。次に同じ場面が来たら、何を一つ変えるか。

例えば、こうです。

第4クォーターでパスミスをした。
味方だけを見ていて、ディフェンスの位置を見ていなかった。
次はボールを受ける前に、一度ディフェンスを見る。

あるいは、

リバウンドを取られて相手にもう一度攻められた。
ボールだけを見て、先に相手へ身体を当てていなかった。
次はシュートが上がった瞬間に、相手を探してボックスアウトする。

「もっと頑張る」ではなく、次に何をするかまで書く。

ここまで具体的になると、負けた試合が翌日の練習テーマに変わります。

三行に絞る理由は、反省を浅くするためではありません。

悔しい時ほど、人は出来事を大きな言葉でまとめてしまうからです。

「全部ダメだった」

「自分には向いていない」

「また迷惑をかけた」

でも、本当に全部がダメだった試合はほとんどありません。うまくいった時間もあれば、判断が遅れた場面もある。技術の問題に見えて、実は相手を見るタイミングの問題だったこともあります。

一行目で場面を絞り、二行目で自分の見え方を確かめ、三行目で次の行動を選ぶ。

この順番にすると、「自分はダメだ」という人格への評価から、「この場面では何を変えられるか」という行動の検証へ戻ってこられます。

例えばベンチにいた選手なら、こう書けます。

出番が来た時、緊張して最初のプレーが遅れた。
試合へ入る前に、自分が最初にやることを決めていなかった。
次はベンチにいる間に、最初の守備と最初の声を決めておく。

得点やミスだけが振り返りの対象ではありません。

準備、声、切り替え、仲間との関わり方も、次の試合を変える材料になります。

最後のミスだけが、敗因ではない

試合では、最後のプレーが強く記憶に残ります。

逆転シュートを外した。

終盤にパスミスをした。

最後の守備で抜かれた。

でも、試合の結果は一つのプレーだけで決まっているとは限りません。

その前に戻りが遅れた場面があったかもしれない。

リバウンドを連続で取られた時間があったかもしれない。

苦しくなった時に声が消えていたかもしれない。

相手が守り方を変えたのに、同じ攻め方を続けていたかもしれない。

だから振り返る時に必要なのは、犯人を決めることではありません。

流れの中で何が起きていたかを見つけることです。

誰が悪かったかではなく、次に自分が変えられることは何か。

この問いに変わると、負けは少しずつ情報になります。

映像を見る時も、僕は最後のミスだけを何度も再生しない方がいいと思っています。

そのプレーが起きる三秒前、五秒前まで戻ってみる。

パスミスの前に、受け手はどこへ動いていたのか。

ドライブで抜かれる前に、身体の向きはどうなっていたのか。

リバウンドを取られる前に、誰を見失っていたのか。

最後に表れたミスは、もっと前の準備や認知から始まっていることがあります。

数字や映像は、選手を追及するための証拠ではありません。次に見る場所を増やすためのデータです。

「ほら、ここで失敗している」と確認するだけなら、選手は映像を見ること自体が怖くなります。

一方で、「この時、何が見えていた?」「もう一度やるなら、どこを先に見る?」と一緒に考えれば、映像は過去を責めるものではなく、未来の準備になります。

ノートを反省文にしない

大人が気をつけたいのは、子どものノートを採点しないことです。

子どもが「リバウンド」と書いた時に、

「ほかにもあったでしょう」

「シュートも入っていなかったよ」

と正解を足したくなることがあります。

でも、大人が答えを追加し続けると、それは子どもの振り返りではなくなります。

まずは、

「どの場面が一番残っている?」

「その時、何を見ていた?」

「次は一つだけ何を変える?」

と聞いてみる。

そして、出てきた一つを次の練習で試せたかを見る。

全部を直そうとすると、何も残らなくなります。

一つなら、コートに持っていけます。

ここで大人に必要なのは、良い答えを引き出すことより、本人の言葉が出てくるまで少し待つことだと思います。

試合直後の車の中で、すぐに聞かなくてもいい。

家に着いて、食事をして、少し落ち着いてからでもいい。

翌朝になってからノートを開いてもいい。

感情を整理する速さには個人差があります。話すことで整理できる子もいれば、黙っている時間の中で考える子もいます。

沈黙を「反省していない」と決めつけないこと。

逆に、言葉がたくさん出るから整理できているとも限りません。

大人ができるのは、答えを急がせることではなく、振り返れる場所を残しておくことです。

「今は話さなくても大丈夫。落ち着いたら、三行だけ一緒に考えよう」

その一言で、子どもは責められる時間ではなく、自分のプレーを取り戻す時間だと感じやすくなります。

自分を責める時間と、次へ進む時間

僕自身、悔しい試合のあとに同じ場面を何度も思い返してきました。

ただ、今振り返ると二つの時間があったと思います。

一つは、自分を責めるために過去を繰り返す時間。

もう一つは、次の準備をするために過去を見る時間です。

前者では、

「なぜ自分はできなかったんだ」

という問いが続きます。

後者では、

「その前に何を見落としていたのか」

「次は何を先に見るのか」

「練習で何を試すのか」

と問いが変わります。

感情が消えるわけではありません。

悔しさは残っていていい。

でも、その悔しさの向かう先を変えることはできます。

レジリエンスカウンセラーとして学んできた視点でも、感情を否定せず、事実を整理し、自分が選べる次の行動へつなげることは大切です。

立ち直ることは、すぐに元気になることではありません。

今の自分にできる一歩を、もう一度選び直すことです。

三行目を、コートへ持っていく

三行を書いたら、それで終わりではありません。

一番大切なのは、三行目を次の練習で試すことです。

「キャッチする前にディフェンスを見る」

「シュートが上がったら先に相手へ身体を当てる」

「ミスをした直後に一本声を出す」

小さくても、行動にできる言葉を持ってコートへ行く。

そして、できたかどうかをもう一度確かめる。

できなかったら、それも新しい情報です。

例えば三行目が「キャッチする前にディフェンスを見る」なら、次の練習でただ意識するだけでは終わらせません。

パスを受ける前に首を振ることを条件にした一対一や、ヘルプの位置によってシュート、ドライブ、パスを選ぶ二対二を入れる。

「先に相手へ身体を当てる」なら、シュートが落ちる場所を当てる練習より先に、相手を見つけて接触するところから始める。

「ミスのあとに声を出す」なら、ターンオーバー後の切り替えをゲーム形式で作り、最初の三秒に出た声を確認する。

ノートと練習がつながった時、振り返りは精神論ではなくなります。

そして翌日の最後に、もう一行だけ足します。

「今日は試せたか」

できたなら、小さな成功の証拠になります。できなかったなら、方法を変えるためのデータになります。

僕は、この確認まで含めて振り返りだと思っています。

書いて終わるのではなく、試して、確かめて、また選び直す。

その循環があるから、負けた試合が次の成長へつながります。

負けた試合をなかったことにはできません。

でも、その試合から何を持ち帰るかは選べます。

今度、悔しい試合があった時。

長い反省文を書かなくても大丈夫です。

一番悔しかった場面。

その時に見ていたもの。

次に変える一つ。

ノートには、三行だけ書いてみてください。

その三行目が、次の一歩になります。

もし今、負けた試合のあとに言葉が出てこないなら、無理に立派な結論を作らなくて大丈夫です。

まずは一番残っている場面を一つ。

そこから始めてみてください。

皆さんは、悔しい試合のあと、どんなふうに気持ちを整理していますか。選手本人の方法でも、保護者や指導者として意識していることでも構いません。コメントで教えてもらえたら、今後の現場でも考えていきたいと思います。

One Step Resilience #009

感情を否定せず、次に変える一つを選ぶ。

最後まで聴いていただき、ありがとうございました。

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