スケガワ|挑戦と育成の裏側
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今でも、ミスすると、頭が真っ白になる。
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今でも、ミスすると、頭が真っ白になる。

おはようございます、祐川です。

正直に言うと、僕は今でも、現役の試合で大事な場面でミスをすると、頭が真っ白になることがあります。指導する側になっても、です。だから、ミスして下を向く子の気持ちは、痛いほど分かります。

そのうえで、僕が試合や練習を見ている時、実は、ミスそのものはあまり気にしていません。ミスは、誰でもします。プロでもします。だから「ミスした」という事実より、じっと見ているのは、その「次の数秒」です。

ミスした後、その子が何をするか。下を向くのか。固まるのか。それとも、すぐ次の守りに走り出すのか。うまくなる選手とそうでない選手の差は、ミスの数より、ミスの「次の一歩」の速さに出ます。今日は、その話です。

ミスは、消せない

まず、大前提から。ミスは、毎日起きます。練習でも、試合でも、どれだけ気をつけていても、必ず起きる。ミスをしないプレーがいちばんいいに決まっています。でも、誰かが必ずミスをする。それが、バスケというスポーツなんだと、僕は思っています。

これは、バスケに限った話じゃありません。今日の未明、ワールドカップで、日本がブラジルと戦いましたよね。一対二で、惜しくも逆転負け。最後の最後、アディショナルタイムのボールロストから、決勝点を決められてしまいました。

ただ、これは、誰か一人のミスの話じゃありません。あの試合、その場面の前にも、両チームを通して、ミスは何度も起きていました。たまたま、最後のひとつが、結果として決勝点に繋がってしまった。それだけなんです。

僕らとは、レベルがもう全然ちがう。世界のトップ中のトップです。それでも、九十分を通して、ミスはずっと起き続けている。それを見て、あらためて思いました。ミスは、誰にでも、必ず起きるんだ、と。だったら、子どもがミスをするのなんて、当たり前なんですよね。

そのうえで、一度してしまったミスは、消せません。パスを取られた、シュートを外した、抜かれた。起きてしまったことは、どうやってもなかったことにはできない。

なのに、多くの人が、その消せないミスのほうを、何秒も見つめ続けてしまう。「あー、やっちゃった」と。その間に、試合は進んでいます。相手はもう次の攻撃に入っている。つまり、ミスを引きずっている時間は、たいてい、もう一つのミスを呼ぶんです。消せないものを見つめる時間を、どれだけ短くできるか。そこが勝負です。

「次っ」の一歩

僕が指導でずっと大事にしている合言葉のひとつに、「ネクストプレー」があります。ミスをしたら、引きずらずにすぐ次に向かう、という考え方です。

具体的には、ミスした瞬間に、まず体を次の方向へ動かす。パスを取られたらすぐ守りに戻る。シュートを外したらすぐリバウンドに飛び込む。頭で「切り替えよう」と思うより、先に足を動かしてしまう。体が次に向かうと、心もあとからついてきます。これは本当にそうなんです。

落ち込む暇を、自分に与えない。次の一歩を誰よりも速く出す。それだけで、ミスは「終わり」じゃなく、「次のプレーのきっかけ」に変わります。

僕も、引きずる側だった

偉そうに言っていますが、冒頭で話したとおり、僕自身、ずっとミスを引きずるタイプでした。頭が真っ白になったあと、その失敗を何分も引きずって、次のプレーが手につかない。そんなことの連続だったんです。

でも、現役を続けていて、はっきり分かったことがあります。引きずっても、いいことは一個もない。むしろ、引きずった分だけ次のプレーが遅れて、傷口が広がる。だから僕は、自分にもこう言い聞かせています。「ミスは、あとで反省すればいい。今は、次の一歩」。試合中の数秒は、反省する時間じゃなく、戻る時間なんです。

「ドンマイ」より、「次っ」

現場で気づいたことを、ひとつ。ミスした子に「ドンマイ」と声をかける。優しくていい言葉です。でも「ドンマイ」だけだと、その子はミスのことを考え続けてしまうことがある。

それより効くのが、「次っ!」という短い一言です。「ドンマイ」は過去のミスに向いている。「次っ」はこれからのプレーに向いている。たった一文字二文字ですが、子どもの目線を、過去から未来へぐっと引っぱってくれます。僕はミスした子に、よく「はい、次!」と声をかけます。責めるためじゃなく、前を向かせるために。

ミスは、一人で抱えなくていい

ここまでは、「自分で切り替える」という話でした。でも、もう一つ、僕が大事だと思っていることがあります。ミスは、一人で抱えなくていい、ということです。

僕自身、現役でプレーしていて、自分がミスをした時に、味方が「次いこ!」とカバーに走ってくれると、本当に救われます。一人だったら引きずってしまうミスでも、誰かが助けてくれると、すっと次に行ける。抜かれた時に、隣の味方がパッと寄ってカバーしてくれる。あの感覚に、僕は何度も助けられてきました。

だから、誰かがミスをしたら、周りがその子を助けにいく。抜かれたらカバーに寄る。パスミスを、走って取り返しにいく。それが、チームワークなんだと思います。ミスを責め合うチームより、ミスを助け合うチームのほうが、結局は強い。そして何より、みんなが思いきって挑戦できる。

自分で切り替えること。そして、誰かのミスを助けられること。この両方があると、ミスは、もっと怖くなくなります。

ミスを、怖がらない土台になる

「ミスの次の一歩が速い」というのは、実はもっと大事なことにつながっています。

切り替えが速いと分かっていると、子どもはミスを怖がらなくなる。「失敗しても、すぐ次に行けばいい」と思えるから、思いきった挑戦ができる。逆に、ミスを引きずる癖がついていると、ミスが怖くなって、安全なプレーしか選ばなくなる。それは、いちばん成長から遠い。

ミスは消せない。でも、次の一歩は、自分で速くできる。その一歩の速さが、その子を、ミスを恐れず挑戦できる選手に育てていきます。

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