スケガワ|挑戦と育成の裏側
スケガワ|挑戦と育成の裏側 Podcast
得点はゼロ。でも、僕はその子を一番見ていた。
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得点はゼロ。でも、僕はその子を一番見ていた。

おはようございます、祐川です。

練習ゲームが終わる。

得点を取った子は分かりやすい。

シュートを決めた。ドライブで抜いた。ナイスパスを出した。

周りからも声がかかります。

でも、その日の得点がゼロだった子の中に、僕が一番見ていた選手がいることがあります。

仲間がドライブできるように、何度もスペースを空けていた。

シュートが上がる前に相手へ身体を当てていた。

ミスした仲間より先に守備へ戻っていた。

ルーズボールへ一歩目を出していた。

記録には残りにくい。

でも、チームがプレーするために必要な動きです。

ボールを持っていない時間の方が長い

バスケットボールでは、一人の選手がボールを持っている時間は限られています。

残りの時間は、ボールを持っていません。

その時に何をしているかで、チームの攻撃も守備も変わります。

仲間のドライブコースを塞がない。

ディフェンスの視線を引きつける。

空いた場所へ切る。

シュートが上がったらリバウンドへ入る。

攻守が変わった瞬間に戻る。

こうした動きがあるから、ボールを持った選手のプレーが生きます。

ただ、育成年代ではどうしても、得点やボールを持ったプレーが評価の中心になりやすい。

子ども自身も「何点取ったか」で自分の出来を判断しがちです。

褒められないと、やらなくなる

子どもは、大人が何を見ているかをよく見ています。

得点した時だけ褒められる。

派手なドリブルの時だけ声が上がる。

そうすると、子どもは「ここが評価されるんだ」と学びます。

それ自体が悪いわけではありません。

得点も大切です。自分で攻める力も必要です。

でも、それだけになると、ボールを持っていない時間の仕事が減ります。

全員がボールへ近づく。

仲間のドライブコースがなくなる。

シュートが外れた瞬間に、全員がボールだけを見る。

守備への切り替えが遅れる。

数字に出ない行動は、誰にも見てもらえないと続けにくいものです。

だから指導者が、そこを言葉にして返す必要があります。

「よく動いていた」では伝わらない

オフボールの動きを褒める時も、できるだけ具体的に伝えたいと思っています。

「よく動いていたね」

だけでは、選手は何が良かったのか分からないことがあります。

「あのドライブの時、コーナーまで広がったから道ができた」

「シュートが上がる前に相手へ身体を当てたから、味方がリバウンドを取れた」

「パスミスのあと、一番先に戻ったから速攻を止められた」

何が、誰の、どのプレーにつながったのかまで伝える。

すると選手は、自分の動きがチームに与えた影響を理解できます。

それは「自己犠牲をしなさい」という話ではありません。

自分がボールを持っていない時にも、試合へ関われる方法があると知ることです。

ここには、もう一つ注意したいことがあります。

オフボールの動きを評価することが、「得点しなくてもいい」という逃げ道になってはいけません。

シュートを打つべき場面で怖くなり、パスを選んだ。

ゴールへ向かえるのに、失敗を避けるために端へ移動した。

そのプレーまで「数字に出ない貢献」として褒めてしまうと、選手の次の挑戦を奪います。

だから僕は、良かった動きを具体的に認めた上で、次の課題も別に伝えたいと思っています。

「あの場面でコーナーへ広がった判断は良かった。次に同じ場所でパスが来たら、今度は迷わず打ってみよう」

「戻りは一番速かった。次は、戻ったあとに誰を守るかまで声にしよう」

今ある役割を認めることと、そこへ閉じ込めることは違います。

見えない仕事を評価しながら、その選手が次にボールを持つ挑戦も守る。

両方が必要です。

僕も主役ではない時間があった

僕は高校までは、北海道でも強いチームで、比較的主役に近い立場でプレーしていました。

でも東海大学へ進むと、全国トップクラスの選手が集まってきます。

試合に長く出られるとは限りません。

自分が中心ではない時間が増えました。

その中で考えていたのは、出ていない時、ボールを持っていない時、自分に何ができるかです。

一本のシュートを決める。

一本のルーズボールへ飛び込む。

ディフェンスで強度を落とさない。

ベンチから声を出す。

自分に与えられた一本を大切にする。

華やかな役割ではなくても、チームの勝利へ関わる方法はあります。

この経験があるから、僕は今も得点していない選手の動きを見たいと思っています。

大学で役割が変わった時、最初からきれいに受け入れられたわけではありません。

高校までできていたことが、大学では通用しない。

周りには全国から集まった選手がいて、出場時間もボールを持つ回数も減る。

自分の価値が小さくなったように感じることもありました。

でも、試合へ出た短い時間に何を残せるかを考えると、見るものが変わっていきました。

自分が何点取れるかだけではなく、相手のエースへどれだけ簡単にボールを持たせないか。

味方が抜かれた時に、どこまでカバーできるか。

ルーズボールへ誰より先に身体を投げ出せるか。

ベンチに戻ったあと、コートへどんな情報を渡せるか。

主役ではない時間にも、試合とのつながりは残っています。

そして不思議なことに、その時間を大切にするほど、突然来た一本のシュートや大事な守備へ入りやすくなりました。

目立たない仕事は、主役を諦めるための仕事ではありません。

チャンスが来た時に、自分を試合の中へ置いておくための準備でもあります。

見えない仕事を、見える言葉にする

オフボールの価値は、曖昧にすると伝わりません。

だから練習の評価にも入れます。

得点だけではなく、

スペースを作れたか。

カットで相手を動かしたか。

リバウンドで先に身体を当てたか。

攻守の切り替えで一歩目を出したか。

仲間のミスのあとに声をかけたか。

こうした基準を、選手と共有します。

動画を見る時も、ボールだけを追わない。

一度、一人の選手を決めて、ボールを持っていない時間だけを見る。

そうすると、普段見落としていた動きが見えてきます。

特に注目したいのは、「その選手が動いたことで、起きなかったこと」です。

早く戻ったから、相手の速攻が出なかった。

ヘルプの位置へ先に立ったから、ドライブを諦めさせた。

パスコースへ身体を入れたから、相手が狙っていたカットが起きなかった。

先にボックスアウトしたから、相手はリバウンドへ跳べなかった。

スタッツには、起きたことが記録されます。

でも良い準備によって「起きなかった危険」は、数字だけでは見つけにくい。

だから指導者は、プレーが終わったあとだけでなく、プレーが始まる前の位置や一歩目を見る必要があります。

映像なら、ボールを追う見方を一度やめてみる。

同じ選手だけを二、三分追い、ボールが反対側にある時の立ち位置、身体の向き、視線、声を確かめる。

そこで見つけた行動を、選手へ返します。

「ナイスディフェンス」ではなく、

「ボールが来る前に一歩入っていたから、相手はカットをやめた」

と伝える。

具体的な言葉は、その選手が次も再現するための手がかりになります。

得点ゼロは、貢献ゼロではない

試合が終わった子どもへ、

「何点取った?」

と聞きたくなることがあります。

点数は分かりやすいからです。

でも、その前に聞けることがあります。

「今日は、仲間を助けたプレーはあった?」

「ボールを持っていない時、何を見ていた?」

「守備で一番よかった一本は?」

こう聞くと、子どもが試合を見る視点も少しずつ広がります。

得点できなかった日にも、自分の成長を見つけられるようになります。

もちろん、何でも褒めればいいわけではありません。

動けていなかったなら、その事実も伝えます。

ただ、評価のものさしを得点だけにしない。

それだけで、今まで見えなかった選手の価値が見えてきます。

親御さんにとっても、これは試合後の会話を変える視点になります。

「何点取った?」の代わりに、毎回たくさん質問する必要はありません。

今日は一つだけ、

「自分がボールを持っていない時に、うまくできたことはあった?」

と聞いてみる。

子どもが「分からない」と答えたら、それでも大丈夫です。

大人が見つけた場面を一つ伝えます。

「あの時、すぐ戻っていたのを見ていたよ」

評価ではなく、見ていた事実を渡す。

子どもは、自分のプレーが得点以外にも存在していたことに気づけます。

一方で、毎回大人が答えを用意しすぎないことも大切です。

少しずつ本人が、自分の貢献を自分の言葉で見つけられるようにする。

それは、自信を数字だけに預けないための練習になります。

だから、僕は一度ボールから目を離す

練習ゲームを見ていると、どうしてもボールの行方を追ってしまいます。

だから僕は、ときどき一人の選手に視線を置き、その子がボールを持っていない時間を見るようにしています。

スペースを作った瞬間。

相手へ先に身体を当てた瞬間。

ミスのあとに戻った一歩。

仲間へ渡した声。

そして練習後に、一つだけ具体的に伝える。

「今日よかったよ」ではなく、

「あの場面で、あなたが動いたから仲間がプレーできた」

と伝える。

さらに、そこで終わらせず次の一歩も一緒に置きます。

「次は、同じ動きのあとにボールを受けて攻めてみよう」

「今度は戻りながら、仲間にも声をかけてみよう」

認めることと、成長を止めないこと。

この二つを同時に行うのが、育成だと思います。

その一言で、自分の役割を見つけられる子がいるかもしれません。

得点はゼロ。

でも、貢献までゼロだったわけではありません。

数字に残りにくい一歩を、見逃さない大人でいたいと思います。

次に試合を見る時、得点とは別に「誰かを助けたプレー」が目に入るかもしれません。

それは、自分の子どものプレーではないかもしれない。

それでも、いつ、どこで、誰を助けたのかまで言葉にして返したい。

その一言が、派手ではない役割を続ける力になり、次の挑戦へ踏み出す土台になるかもしれません。

One Step Resilience #011

見えにくい一歩にも、成長の証拠はある。

最後まで聴いていただき、ありがとうございました。

このポッドキャストでは、

・バスケットボール
・育成
・メンタル
・挑戦
・スポーツ起業

について、成功だけでなく失敗や試行錯誤も含めて、できるだけリアルにお話ししていきます。

病気や怪我で苦しかった時期。
チーム解散を経験したこと。
14年間の会社員生活。
そして36歳からのスポーツ起業。

遠回りしてきたからこそ伝えられることがあると思っています。

もし今、何かに挑戦していたり、
壁にぶつかっていたり、
次の一歩を踏み出したいと思っているなら、

これからも一緒に歩んでいけたら嬉しいです。

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次回の配信も楽しみにしていてください。

ONE STEP FORWARD

今日も一歩ずつ前へ。

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