スケガワ|挑戦と育成の裏側
スケガワ|挑戦と育成の裏側 Podcast
「明日の朝、身長は10センチ伸びない」とコーチは言った。
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「明日の朝、身長は10センチ伸びない」とコーチは言った。

おはようございます、祐川です。

練習試合を振り返っていた時、コーチからこんな言葉が出ました。

「身長は、明日の朝起きたら10センチ大きくなってほしいと思っても、なっていない」

相手の方が大きかった。

リバウンドで押し込まれた。ゴールの近くで高さを使われた。手を伸ばしても届かない場面があった。

負けた理由を探せば、「身長差」という言葉で説明できます。

確かに、身長は競技の大きな要素です。

でも、次の日までに変えられないものだけを敗因にすると、選手は何をすればいいか分からなくなります。

その言葉のあとに続いたのは、変えられることの話でした。

リバウンドへ入ること。ルーズボールへ飛び込むこと。走ること。守ること。声を出すこと。

高さが変わらなくても、次の試合で変えられるものは残っています。

変えられないものは、説明として強い

負けたあと、人は理由を求めます。

相手が大きかった。

相手が速かった。

経験が違った。

審判の判定が難しかった。

練習時間が足りなかった。

どれも事実である場合があります。

そして、変えにくい理由ほど自分を守ってくれます。

「仕方がなかった」と思えるからです。

ただ、仕方がない理由だけで振り返りを終えると、次の試合も同じ場所から始まります。

身長差があったなら、その差を消すことはできません。

でも、シュートが上がる前に相手へ身体を当てたか。ボールが落ちる場所へ一歩目を出したか。取れなくても相手に簡単な着地をさせなかったか。外へ弾いたボールを仲間が拾える準備をしたか。

高さ以外の部分は、細かく分けられます。

振り返りの目的は、負けた理由をきれいに説明することではありません。

次に変えられる動作を見つけることです。

コントロールできる範囲へ戻る

選手が落ち込んでいる時、「気にするな」と言っても感情はすぐ消えません。

身長差に圧倒された事実もなくなりません。

僕が大切にしたいのは、感情を否定せず、視線を自分たちの範囲へ戻すことです。

例えばリバウンドなら、「取れたか、取れなかったか」だけでは評価しません。

相手を先に見つけたか。

身体を当てる場所へ入れたか。

ボールが落ちるまで接触を続けたか。

両手を伸ばしたか。

着地したあと、ボールを守ったか。

結果として相手が取ったとしても、その前の行動には改善できるものがあります。

ルーズボールも同じです。

拾えなかったからゼロではない。最初の一歩が出たか。床へ身体を近づけたか。仲間が拾いやすい方向へ触れたか。

結果より先にある行動を見つけると、選手は「自分にもできることがある」と感じられます。

これは甘い評価ではありません。

勝敗を変えるために、再現できる行動まで解像度を上げることです。

努力で全部変えられる、でもない

一方で、「気持ちがあれば身長差を超えられる」と言い切るのも危険です。

大きさや身体能力の差が、戦術や結果へ影響することはあります。

どれだけ頑張っても届かないボールはある。正しい位置へ入っても、上から取られることもある。

そこをすべて根性不足にすると、選手は現実の差まで自分の責任だと思ってしまいます。

必要なのは、変えられない条件を認めたうえで、その中の選択を探すことです。

真正面から同じ高さで勝負するのか。

先に触れて相手のジャンプを遅らせるのか。

一人で取ろうとせず、二人目が拾う形をつくるのか。

速く攻めて、相手の大きな選手が戻る前に勝負するのか。

現実を認めることと、諦めることは同じではありません。

条件が変わらないからこそ、方法を変える余地があります。

僕にも、変えられない時間があった

病気や怪我を経験した時、僕にも自分では動かせない時間がありました。

バセドウ病になった時、気持ちだけで身体を元へ戻すことはできませんでした。

アキレス腱を断裂した時も、次の日に走れるようにはなりません。

早く戻りたいと思っても、回復には順番があります。

その時、できないことばかり見ていると苦しくなります。

バスケットができない。仲間と同じ練習ができない。身体が思うように動かない。

でも、ベッドの上でも本を読むことはできた。ノートへ考えを書くことはできた。リハビリで、その日に許された一つへ集中することはできた。

それをしたから必ず良い結果が返ってくる、という単純な話ではありません。

ただ、自分で選べるものを一つ持っていると、変えられない状況の中でも、自分の人生へ参加し続けられます。

大人の言葉が、選手の視線を決める

試合後に大人が「相手が大きかったから仕方ない」と言えば、子どもは身長だけを見るようになります。

逆に、「気持ちが足りない」と言えば、自分のすべてを否定されたように感じるかもしれません。

僕なら、まず事実を認めます。

「相手は大きかった。簡単ではなかった」

そのうえで、映像や場面を一つ選ぶ。

「このリバウンドは取れなかったけれど、先に身体を当てられていた」

「ここはボールを見続けて、相手を見失った」

「次は、シュートが上がる前に一度相手へ触れよう」

大きな反省を、小さな動作へ戻します。

子どもに「何を頑張る?」と広く聞くより、「次の試合で、自分が変えられる一つは何だと思う?」と聞く方が、答えを持ちやすいことがあります。

大人が答えを決めなくてもいい。

「声を出す」

「一回は床へ飛び込む」

「リバウンドで先に触る」

本人が選んだ一つを覚えておき、できた場面を返す。

変化は、試合の勝敗より小さく見えるかもしれません。

でも、自分で変えられるものへ力を使う感覚は、バスケット以外でも残ります。

明日の朝も、同じ身長で立つ

次の日、選手の身長は急に変わりません。

相手との条件差も、すぐには消えないでしょう。

それでも、同じ身体で違う準備はできます。

ボールが上がる前に相手を探す。

仲間へ声をかける。

取れないボールを外へ弾く。

転がったボールへ最初の一歩を出す。

走るべき場面で走る。

こうした行動は派手ではありません。

けれど、変えられないものに心を奪われた選手を、もう一度プレーへ戻してくれます。

勝つために現実を見る。

その現実の中で、自分たちが選べるものを手放さない。

僕は、その両方を育てたいと思っています。

チームで決める「三つの約束」

変えられることを増やしすぎると、今度は選手が何へ集中すればいいか分からなくなります。

リバウンドも、ルーズボールも、声も、走ることも、守ることも。全部大事です。

だから一試合で、チームとして守る約束を三つほどに絞ります。

例えば、

「シュートが上がったら、最初に相手へ触れる」

「ボールを失ったら、最初の三歩を全力で戻る」

「床へ落ちたボールには、近い二人が反応する」

結果ではなく、動作にすることがポイントです。

「リバウンドを取る」では、相手の高さに左右されます。

「先に触れる」なら、取れない場面でも実行できたか確認できます。

試合後も、勝敗とは別に三つの約束が何回できたかを見る。

これが、変えられない条件の中でチームが自分たちの成長を測る物差しになります。

選べるものへ集中することは、逃げではない

自分たちができることへ戻ると、「相手の強さを直視していない」と感じる人もいるかもしれません。

そうではありません。

相手が大きいことも、技術が高いことも認める。そのうえで、自分たちが動かせる部分を探す。

現実から目をそらして「次は気合で勝てる」と言う方が、むしろ選手を苦しめます。

分析は必要です。

どういう場面で高さを使われたか。どの組み合わせが苦しかったか。戦術で避けられるか。

ただし、分析の最後は選手が実行できる言葉へ戻します。

「相手のインサイドが強い」では終わらず、「ボールが入る前に前へ出る」「逆サイドの選手が低い位置へ寄る」とする。

コントロールできる範囲へ戻ることは、問題を小さく見ることではありません。

大きな問題を、自分たちが動かせる大きさへ変換することです。

この変換ができれば、選手は相手を恐れるだけでなく、具体的な準備を持って次の試合へ向かえます。

One Step Resilience #017

変えられない条件を認めた時、変えられる一歩がはっきりする。

最後まで聴いていただき、ありがとうございました。

このポッドキャストでは、

・バスケットボール

・育成

・メンタル

・挑戦

・スポーツ起業

について、成功だけでなく失敗や試行錯誤も含めて、できるだけリアルにお話ししていきます。

病気や怪我で苦しかった時期。

チーム解散を経験したこと。

14年間の会社員生活。

そして36歳からのスポーツ起業。

遠回りしてきたからこそ伝えられることがあると思っています。

もし今、何かに挑戦していたり、

壁にぶつかっていたり、

次の一歩を踏み出したいと思っているなら、

これからも一緒に歩んでいけたら嬉しいです。

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次回の配信も楽しみにしていてください。

ONE STEP FORWARD

今日も一歩ずつ前へ。

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